2022年5月19日木曜日

ケアプランの事業所間共有をクラウドで 脱FAXへ今年度中に新システム整備 岸田首相が表明

 岸田文雄首相は19日、居宅介護支援事業所と他の介護サービス事業所がケアプランをクラウドで効率的に共有できるようにする新たなシステムを、今年度中に整備する方針を表明した。【Joint編集部】

介護現場を視察した後で記者団に対し、「今年度中に整備し、早期の全国展開を目指していきたい」と明言した。新たなシステムは、厚生労働省が2018年度から構築に向けた取り組みを進めてきた経緯がある。

介護現場の事務負担の軽減、それに伴う労働環境の改善、サービスの質の向上などにつなげる狙い。FAXや郵送、紙の手渡しなどをやめ、ケアプランをICTでスムーズに共有できるようにする。実績データの手入力に割く時間の大幅な削減なども期待される。

厚労省は既に、異なる介護ソフト間でもケアプランデータの連携が可能となるよう標準仕様を策定済み。その実装を促したり実証実験を行ったりするなど、これまで国保中央会などと準備を進めてきていた。

岸田首相は、「介護現場の皆さんの負担軽減、更には介護サービスの質の向上という観点からICTを活用する。これは大変重要な視点」と説明。「引き続き現場の声に耳を傾けながら、介護の有り様についても、政治の立場から何をしていかなければならないのか、更なる取り組みを検討していきたい」と語った。

提供元:介護のニュースサイトJoint

政府「給付は高齢者、負担は現役を見直す」 全世代型社会保障で中間報告 家庭の介護負担減も

 政府の「全世代型社会保障構築会議」が17日に「中間整理」をまとめた。今後の改革の方向性を描いている。【Joint編集部】

子どもからお年寄りまで全ての世代を偏りなく支えていく − 。これが「全世代型社会保障」の目指すところだ。

政府は中間報告に、「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心となっているこれまでの構造を見直す」と明記。子ども・子育て支援の拡充や勤労者皆保険の実現、女性の就労の制約となる制度の是正などを盛り込み、「能力に応じて皆が支え合うことを基本としつつ、それぞれの人生のステージに応じて必要な保障をバランスよく確保する」との考えを打ち出した。

その一環として、「家庭における介護の負担軽減」も掲げている。

「単身・夫婦のみの高齢者世帯が増え、家族の介護力の低下が予想される」「男女ともに介護離職を防ぐための対応が必要」などと指摘。介護サービスの基盤整備を着実に進めること、介護予防の取り組みを強化することなどに努めるとした。

政府は今回、膨張を続ける給付費を抑制していくための施策に踏み込むことを避けたが、介護サービス提供体制の改革には言及している。

「今後の更なる高齢化と人材不足などを踏まえると必須」と説明。サービスの質の向上や人材配置の効率化、働き方改革などを具体化する観点から、ICTの活用やタスクシェア・タスクシフティング、経営の大規模化・協働化などを進める方針を示した。サービスの質の向上に向けては併せて、医療・介護データの総合的な活用、社会保障全体のDXにも注力する構えをみせた。

岸田文雄首相は会合で、「子育て・若者世代を始め、自らの望むライフスタイルを実現しながら活躍できる社会を構築していく」と説明。「足元の課題からスピード感を持って取り組んでいくとともに、中長期的な課題も具体的な改革事項を工程化していく。今後、国民的な議論を進めながら政策の具体化を進めていく」と述べた。

提供元:介護のニュースサイトJoint

2022年5月17日火曜日

[介護保険]介護給付費等実態統計月報 22年1月審査分 厚生労働省

 厚生労働省はこのほど、2022年1月審査分の「介護給付費等実態統計月報」(旧・介護給付費等実態調査月報)を公表した。結果の詳細は以下の通り。


【受給者数】
●介護予防サービス
▽総数/84万9,000人
▽介護予防居宅サービス/83万4,300人
▽地域密着型介護予防サービス/1万3,700人

●介護サービス
[全体]▽総数/458万700人▽要介護1/122万3,900人▽要介護2/109万3,500人▽要介護3/88万4,700人▽要介護4/83万800人▽要介護5/54万7,800人
[居宅サービス]▽総数/331万6,900人▽要介護1/106万4,900人▽要介護2/94万5,200人▽要介護3/59万5,400人▽要介護4/44万2,400人▽要介護5/26万9,000人
[施設サービス]▽総数/97万5,500人▽要介護1/5万800人▽要介護2/8万6,000人▽要介護3/23万9,800人▽要介護4/34万8,200人▽要介護5/25万700人
[地域密着型サービス]▽総数/91万1,500人▽要介護1/27万4,300人▽要介護2/23万6,400人▽要介護3/18万3,000人▽要介護4/13万3,400人▽要介護5/8万4,400人

【受給者1人当たり費用額】
▽介護予防サービス/2万8,100円
▽介護サービス/20万300円

厚生労働省 webサイト資料 参照
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/2022/01.html

発信元:厚生労働省 政策統括官付 参事官付 社会統計室 

2022年5月9日月曜日

進まぬBCP策定 目途が立たない介護事業所はおよそ4分の1 厚労省の最新調査

およそ2年後の2024年度から全ての介護サービス事業所に策定が義務付けられるBCP(業務継続計画)について、未だ「策定の目途は立っていない」と答えたところが全体の2割強にのぼっていることが、国の最新の調査結果で明らかになった。「策定の見込みがない事業所は調査時点でおよそ4分の1ある状況」とまとめられている。【Joint編集部】

「進め方や検討すべきことが分からない」「職員が不足している」「時間がない」。

未策定の事業所に理由を聞くと、こうした声がとりわけ多くあがったという。このままでは取り残されるところが出る可能性もあるため、現場を適切に後押ししていくことの必要性が指摘されている。

全サービスへのBCP策定の義務化が決まったのは2021年度の介護報酬改定。現在は2024年度に向けた3年間の準備期間のさなかにある。

この調査は、現場の取り組みの進捗などを詳しく把握するためのもの。厚生労働省から委託を受けた民間のシンクタンクが、昨年の10月から12月にかけて実施した。特養や老健、訪問介護、通所介護、居宅介護支援、グループホーム、小規模多機能などが対象で、全国の1811事業所から有効な回答を得ている。

感染症と自然災害、それぞれのBCP策定の進捗は表の通りだ。「今年3月までに策定予定」とした事業所は、両方とも全体の約半数だった。「2024年3月までに策定予定」の割合や無回答も踏まえ、「見込みがない事業所はおよそ4分の1」と総括されている。 

調査結果ではこのほか、規模の小さい法人ほど目途が立っていない割合が高くなる傾向が出ていた。また、今のところBCP策定が十分に進んでいない事業所であっても、例えば物資の備蓄や連絡先の整備など、必要な取り組みを既に行っているケースが珍しくないことも分かった。

調査結果のレポートにはこうした実態を踏まえ、「各種研修を通じて広く周知するなど、BCP策定に向けて動き出すよう促すことが必要」「小規模法人にはより丁寧な情報発信の方法を検討するなどの工夫が必要」といった分析が記された。併せて、次のような提言もなされている。

「最初から完璧なBCPを策定することは難しい。まずは既存のひな形を埋めるところから始め、自治体、事業者団体、職能団体らが提供する研修、新たに発出された手引き、事業所での研修・訓練などを通じて得た気づきを踏まえ、策定したBCPのブラッシュアップを図ることで、それぞれの事業所に合ったBCPに近づけていくことが、本来のあり方であることを伝えることも重要」

提供元:介護のニュースサイトJoint

2022年5月5日木曜日

4回目のワクチン接種、介護職は対象外 60歳以上や基礎疾患のある人に5月末から開始へ 厚労省

 厚生労働省は27日の厚生科学審議会の分科会で、4回目の新型コロナウイルスワクチンの接種について、その費用を公費で賄う予防接種法上の「特例臨時接種」に位置付けた。【北村俊輔】

対象は60歳以上の人、18歳以上で基礎疾患がある、または重症化リスクが高いと医師が判断した人とした。医療従事者や介護従事者も、これに該当しなければ対象に含まれない。

厚労省は今後、自治体との調整を進めつつ5月末の接種開始を目指す考えだ。

4回目の接種で使用するワクチンは、ファイザー社製とモデルナ社製の2種類に決めた。接種間隔は3回目の接種から5ヵ月以上。基礎疾患がある人については、呼吸器や心臓、腎臓、肝臓の慢性の病気、糖尿病、がんなどで通院・入院していることを条件とした。また、BMIが30以上の肥満のケースも含めた。

接種券はまず、60歳以上の全ての人に送付する見込みだという。一方、基礎疾患がある18歳以上の人などは自治体が把握できていないため、本人が申請する“手上げ式”での対応を想定している。

これまでの海外の研究によって、ファイザー社製を4回接種した60歳以上の場合、3回接種した人よりも一定の重症化予防効果が得られた一方で、感染予防効果は短期間しか得られなかったと報告されている。そのため厚労省は、今回の4回目接種の目的を「重症化予防」と設定。対象者の選定も、あくまで重症化リスクの高さを基準として行った。

後藤茂之厚労相は27日午後、「5月末から4回目接種を開始できるよう必要な手続きを進めていく」と記者団に説明。「明日、自治体の担当者向けに説明会を開催する。引き続き緊密に連携しつつ準備に取り組みたい」と述べた。

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厚労省、ヤングケアラー支援マニュアルを通知 「福祉、介護、教育など多分野の連携が重要」

 厚生労働省は22日、介護保険最新情報のVol.1070を発出した。【鈴木啓純】

「多機関・多職種連携によるヤングケアラー支援マニュアル」を紹介。全国の自治体に活用を促すとともに、ヤングケアラーと接する可能性のある専門職、関係団体などに周知するよう要請した。

厳しい環境に置かれているヤングケアラーをどうサポートしていけばいいのか − 。厚労省がそうした悩みに応えるマニュアルを発信中だ。副題は「ケアを担う子どもを地域で支えるために」。

マニュアルでは、ヤングケアラーの多様な状況、支援のポイント・流れ、本人や家族の意思確認、支援の基盤作り、関係機関の役割分担などを幅広く学ぶことができる。厚労省は今回の通知で、「ヤングケアラーを早期に発見して支援につなげるためには、福祉、介護、医療、教育といった様々な分野の連携が重要」と改めて強調している。

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介護事業所への「運営指導」、厚労省がマニュアルを通知 全サービスの標準的な確認項目も公表

 介護施設・事業所に対する自治体による実地指導 − 。新年度からその名称を「運営指導」に改めた厚生労働省は、新たに作成した「運営指導マニュアル」を通知した。介護保険最新情報のVol.1063で広く周知している。【Joint編集部】

事業所が人員や設備、運営に関する基準を満たしているかどうか、自治体がチェックすべき標準的な「確認項目・確認文書」を、介護保険の全てのサービスについて公表。何か特別な理由がない限り、原則としてこれら以外の項目・文書の確認は行わないよう促した。「運営指導」の自治体ごとの差異を小さくしたり、現場の事務負担の軽減につなげたりする狙いがある。

全サービスの「確認項目・確認文書」はこちらから

厚労省はマニュアルで、この「確認項目・確認文書」を「事業所自身で点検すべきもの」とも説明。日頃から法令などの遵守に努めるよう呼びかけ、自治体にはその支援を要請した。

今回の「確認項目・確認文書」は、どのサービスも大きく2つのカテゴリーに分けられている。日々のサービスの質をチェックするものと、サービスの基盤となる事業所の体制をチェックするものだ。例えば、

◯ 重要事項説明書の内容に不備はないか

◯ サービス担当者会議に参加して利用者の心身状況の把握に努めているか

◯ 職員の人数は適切か、必要な専門職は揃っているか

◯ 事故が発生した際の対応方法は定まっているか

などの項目があり、それぞれ対応する文書も列挙されている。厚労省はマニュアルで自治体に対し、「基準違反が著しいことが認められた場合などは、監査を行って事実関係を明確にしたうえで対応すること」と指示している。

このほか介護報酬の加算については、「それぞれの算定要件に関する文書を求めて適合状況を確認することになる」と解説。算定要件をクリアしているかどうか自らチェックできるよう、事業所向けの「自己点検シート」や「要件等一覧」も併せて公表した。

このマニュアルは、既に公表されている国の「指導指針」の内容を補完するものという位置付け。「運営指導」の基本的な考え方や実施方法、留意点などが詳細にまとめられている。

提供元:介護のニュースサイトJoint

排泄予測機器が介護保険適用 厚労省、留意事項を通知 福祉用具専門相談員やケアマネが気をつけることは?

 厚生労働省は31日、新年度から介護保険の特定福祉用具販売の対象種目に新たに加えた「排泄予測支援機器」について、取り扱いの留意事項をまとめた通知を発出した。【Joint編集部】

介護保険最新情報のVol.1059で周知。福祉用具専門相談員やケアマネジャーなど現場の関係者に広く周知している。

厚労省は通知で、福祉用具の販売事業者に利用者の状態・環境、医学的な所見の確認を改めて指示した。

◯ 利用の目的を理解し、トイレでの自立した排尿を目指す意志があるか。

◯ 装着は可能か。

◯ 利用者やその介助者が排泄の通知を理解でき、トイレまでの移動や誘導が可能か。

これらをチェックすべきと明記。「販売前に一定期間の試用を推奨し、積極的な助言に努めるとともに、継続した利用が困難な場合は試用中止を助言すること」「介助者も高齢など継続した支援が必要な場合は、販売後も必要に応じて利用状況の確認や利用方法の指導などに努めること」と規定した。

あわせて、以下のいずれかの方法で利用者の膀胱機能の医学的な所見を確認することも求めた。

◯ 認定審査の主治医意見書

◯ サービス担当者会議などの医師の所見

◯ ケアマネが聴取したケアプランなどに記載する医師の所見

◯ 個別に取得した医師の診断書

排泄予測支援機器は、膀胱内の尿の溜まり具合を超音波などで測って可視化する仕組み。排泄のタイミングが近いことを知らせ、利用者の自立や介護者の負担軽減を後押しするソリューションで、トリプル・ダブリュー・ジャパンの「DFree」などが知られている。厚労省は昨年11月、その有効性・安全性を評価して福祉用具販売の対象種目に加える判断を下していた。

今回の通知では、給付対象を「排尿機会の予測が可能となることで、失禁を回避し、トイレで排尿をすることが見込める人」と設定。あくまでトイレでの自立を目指すものであるため、排泄介助が全く要らない人や全介助の人の利用は「想定しにくい」とした。

このほか、利用者が居宅介護支援のケアマネジメントを受けているケースにも言及。以下のように要請している。

「福祉用具専門相談員は、サービス担当者会議などで排泄予測支援機器の利用について説明するとともに、ケアマネや他の事業者にも福祉用具販売計画を提供するなど、支援者間の積極的な連携を図ることにより、利用状況に関する積極的な情報収集に努めること」

提供元:介護のニュースサイトJoint